建設業で起きやすい労災事故とは?

建設業で起きやすい労災事故とは?よくある事故の要因

近年における労働災害発生件数は減少傾向にありますが、令和2年の建設業における死亡災害発生件数は全業種中最も多い258名(全業種のうち32.2%)となっており、依然として労働災害に注意するべき業種となっています。死亡災害発生状況の事故の種別は、 墜落・転落が95名、交通事故(道路)37名、崩壊・倒壊、はさまれ・巻き込まれが 各27名になります。(参考:一般社団法人 全国建設業労災互助会)

また、労災事故では労災保険から補償を受けることが可能ですが、こちらの補償額は治療費や休業損害の一部だけあり不十分であることがほとんどです。そのため、責任のある事業者に対して損害賠償請求を行い、適切な補償を受ける必要があります。

本コラムでは、建設業従事者が労災に遭われた際の損害賠償請求方法、注意点をお伝えいたします。建設業で働く皆様、またそのご家族様にぜひ参考にしていただきたい内容となっております。

 

労働災害とは

労働災害(労災)とは、労働者が業務中・通勤中に負傷、疾病、死亡することを指します。よくある労災のイメージは、建設現場での落下事故や機械を誤って操作したことによる怪我が挙げられるかと思いますが、通勤時の疾病、怪我も労働災害に含まれます。業務による疾病、怪我を“業務災害”、通勤時の怪我を“通勤災害”と呼び、本コラムでは建設業における労災の中でも、業務災害をメインにお伝えいたします。

 

労働災害が認められる条件

労働災害と認められるには、下記の2つの認定基準を満たすことが必要になります。

 

【業務遂行性】

労働者が使用者との労働関係を結んでいることが必要となります。したがって、労働契約以外の業務委託契約関係である場合、この基準は満たさないことになります。

 

【業務起因性】

業務が原因となった災害であり、業務と疾病・傷害等に因果関係があることを指します。したがって、業務中に私的行為を行って災害に遭った場合はこの基準を満たさないことになります。

 

建設業における労働災害発生時の責任の所在

損害賠償請求は労災発生時の責任者に行います。しかし、建設現場では同現場に複数の業者が同時に業務を行っていることも多く、責任の所在が複雑になるケースが多いという実情があります。ですので、まずは責任の所在について解説します。

 

下請業者の責任

労働契約法5条で使用者は労働者に対して安全配慮義務を負っています。具体的には、建設現場において危険な場所での作業において、事故を防止するために必要な安全措置や安全対策を講じる義務です。したがって、転落や機械の誤作動、資材の落下災害が発生した要因が危険防止措置の不備である場合、安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うことになります。

 

元請業者の責任

元請業者と下請業者の従業員との間には労働契約関係は無いため、基本的には上記のような安全配慮義務を負うことはありません。しかし、労働契約上の安全配慮義務を厳密に記すと、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」を指します(川義事件、最三小判昭59.4.10、民集386557頁)。

したがって、元請業者の労働者と下請業者の労働者間に、「実質的な使用関係」あるいは「間接的指揮命令関係」が認められた場合には、元請業者が下請業者の労働者に対して、安全配慮義務を負うと判断される可能性が高いといえます。具体的には、下請業者の従業員が元請業者の管理する設備や工具を使用したり、元請業者の指揮監督を受けて働いていたりするケースが挙げられます。また、元請業者から事業を請け負った個人事業主、いわゆる一人親方においても、「実質的な使用関係」があると認められる場合には、元請業者に対して安全配慮義務違反をもとにした損害賠償請求が可能となります。

 

工作物の責任

工作物の安全性に問題がないか、責任を負う必要があることを指します。工事現場の足場の倒壊等が例に挙げられます。安全性に不備がある場合は、工作物の占有権のある事業者が被害者に対して損害賠償責任を負うことになります。

 

労災保険の申請

まず、一番にするべきことは労災保険の申請です。労災保険にはいくつか種類があり、申請することで、治療費、休業補償、傷病給付等の補償が受けられます。申請するのは被災者本人または遺族が行う必要がありますが、場合によって書類が必要であったり、複雑な場合もございます。労働災害申請手続きの詳細は以下のページに記載しておりますが、ぜひ弁護士に相談してみることをお勧めします。申請できる労災保険の種類や申請方法に不安がある方は弁護士にご相談してみてください。

労働災害申請手続きの方法

 

企業への損害賠償請求

上記でいくつかの補償が受けられるとお伝えしましたが、その中には慰謝料に相当する損害は含まれておりません。さらに、休業補償は60%のみの給付、後遺障害が残った場合も損失利益(将来的に得られるはずだった収入)の支給は無く、損害の全てを網羅することは出来ないのが実情です。そのため、企業が安全配慮の為の措置を行っていなかった場合、企業に対して損害賠償請求をすることが可能です。ここで重要なのが、「企業が安全配慮の為の措置を行っていなかった」のかという、企業の過失の有無です。裁判においては過失の証明をする必要がありますが、証拠は会社がほとんどを握っている為、ご自身のみで行うのは非常に困難です。したがって証拠集め、訴訟手続きの経験をもつ弁護士に依頼することをお勧めいたします。

 

損害賠償請求方法

損害賠償を請求する方法には主に2つのフェーズに分けられ、基本的には①から②にかけて実施する流れとなります。

①交渉

②裁判

それではフェーズごとに解説します。

 

①交渉

交渉とは、責任者と被害者の当事者同士で解決を図ることを指します。内容証明郵便を送るなどして会社側に損害賠償などを請求します。これに対して、企業側には弁護士がついていることが多く、状況によっては被害者側の過失を訴えられることもあります。労災に遭ってしまった場合は、交渉時から弁護士をつけることで、過失の有無や割合について法的根拠に基づいて損害賠償を請求することが可能になります。

 

②裁判

交渉でお互いの主張がかみ合わない場合は裁判を起こすことになります。裁判では、被害者である労働者側が、責任者である事業者側に責任の有無や安全配慮義務違反の根拠を主張・立証する必要があります。法的根拠になり得る証拠を揃える必要があるため、弁護士に依頼することは必須といえるでしょう。弁護士に依頼することで、裁判を有利に進めやすくなります。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。建設業に従事されている方にとって労働災害は身近に潜んでおり、災害発生時には大きな被害になることが多いです。実際に労災に遭ってしまった場合も、補償、慰謝料の請求を行うにはいくつものハードルが存在します。当事務所ではいくつもの労働災害対応をした実績があります。まずはお気軽にご相談ください。

 

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