挟まれ事故・巻き込まれ事故
労働の現場で、機械や器具に身体が挟まれてしまったり、巻き込まれてしまったという事故も後を絶ちません。
人間よりも遥かに強い力、大きな質量を伴って動くこれらの機械や器具に人間の身体が挟まれた・巻き込まれたとなれば、それによって負う傷害もまた大きくなってしまいます。
手指や足であれば切断を余儀なくされることもありますし、頭部や胸部であれば、お亡くなりになるケースもあります。
こういった事故は、業務の性質上、製造業・建設業・運送業など、わが国の重要なインフラを担う業界で特に発生しやすい傾向にあります。安全への対策は各所でなされているものの、全ての企業、全ての現場で万全の対策がなされているわけでありませんし、どうしても防ぎきれなかった事故も存在します。
このような中で、残念ながら怪我を負ってしまった方への賠償については、当然、全ての事故について適正になされなければいけません。
勤務している会社、元請けの会社に対する損害賠償できることもあります
前述の通り、重症化しやすい事故ですから、労災保険により相応の補償(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。
その場合、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反(従業員が安全で健康に働くように配慮する義務)」や「不法行為責任(労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」という民事上の責任が認められれば、勤務している会社や元請けの会社に対して、損害賠償請求が認められることもあるのです。
このような事故ではロール機、撹拌機(ミキサー)、プレス機の金型、コンテナ、スクリューなど様々な機械・器具が起因物となりますが、これに対して、防護措置・安全措置の欠陥・不履行や、安全のための教育・周知徹底の不備を根拠に責任を追及することが可能です。
しかしながら、こういった事情を知らずに、労災保険からの給付のみを受け取って、それで終わりにしてしまっている方が多いのもまた事実です。
当事務所にご依頼いただいた挟まれ事故・巻き込まれ事故の例
当事務所でも、このような事故の賠償についてご依頼いただいた例が多くあります。
ケース1、食材の切断機の作業中に・・
あるケースでは、ご依頼者様(40代男性)が食材の切断機の作業中に、食材を切るカッターに右腕を挟まれて右前腕部を切断することとなり、労災で等級5級の後遺障害が認められました。
当初、ご依頼者様がご自身で会社側の弁護士と交渉していました。
会社側は、ご依頼者様に1000万円の示談金を提示していましたが、金額が低いうえに、会社側がこれ以上の増額はしないとご依頼者様に通知したことから、ご相談がありました。
提示された金額の内訳を精査すると、ご依頼者様に7割もの過失があるという理由で減額されていたものでしたが、調べてみると、それほどの過失はないことは明白でした。
会社側の弁護士と交渉したところ、会社側が、ご依頼者様の過失割合を3割程度であることを前提として、2000万円と今後の雇用も保障するとの示談を提示してきました。
もし裁判をすれば、3000万円から4000万円程度の賠償金が認められうる事案でしたが、ご依頼者様が、早期解決を望まれていましたし、その会社との雇用も継続してくれることなどから、この金額で示談しました。
勤務している会社・元請けの会社に対して過失を追求するために
先述の「使用者責任」以外にも、労働災害においては様々な角度から「事故を起こさないために全力で被害者の安全に配慮したのか」という検証が行われます。
しかしながら、会社や保険会社とのやり取りはとても煩雑ですし、立場上なかなか言いたいことも言いにくい状況であることも事実です。さらに、初めて労働災害に遭われた方がそれを行うのは困難をきわめますし、事故態様に関する資料の収集も容易ではありません。
また、損害の計算も容易ではありません。どういった損害を請求できるのか、慰謝料がいくらなのか、仕事が出来なくなったことに対する休業補償の計算はどのようにするのか、将来介護費はいくらくらい請求できるのか、各損害項目ごとに専門的知識が必要不可欠です。
ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、どのように交渉を進めればよいか悩ましく、お忙しい中で非常にストレスに感じられることと思います。
また、会社側も「労働者(=あなた)」に過失があった」というように、「過失相殺(割合)」などの主張をしてくる場合が少なくありません。そのような時にも、あなたの味方である弁護士はあなたの立場から適切な主張を行います。
弁護士は、労働災害の賠償についても熟知しており、こういった複雑なやり取りは日頃の業務でやっていることですから、ご依頼いただくことでこれらの作業をスピーディーに進めることができます。是非一度ご相談ください。
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